１．書籍の保存修復処置
インキュナブラをはじめとした西洋古典籍（洋装本）、和装本（江戸版本など）、一般図書資料、博物館資料のほか雑誌、漫画、絵本、アルバムなどに至るまであらゆる形態の書籍に対する保存修復処置を行います。古書籍には内容情報（テキスト）のみならず、書籍を構成する素材、装飾、構造、形態などにも極めて重要な情報が含まれています。これらに対して適切な保存修復処置を行うためには、書籍特有の損傷・劣化を十分に理解し、さらに製本構造に対する深い理解が必要不可欠となります。私どもは、書籍特有の損傷・劣化および製本構造への深い理解とともに、保存修復の原則に従ったオリジナル資料の持つ時代性、素材、装飾、構造など、記録された情報（テキストや画像）以外の側面をも尊重して保存修復処置を行います。また、図書館や文書館などにおいて管理・運営上で極めて重要な「保存と利用」という両輪を考慮した製本構造を取り入れることで、保存にも利用にも耐えうる製本を今日まで十数年にわたって行い、その技術とノウハウの蓄積は業界随一を自負しております。
そのほか、カビの発生した書籍への緊急的な対処方法のご提案から安定化（殺菌）処理、図書資料に貼られた図書ラベル（バーコードラベル）の除去作業のほか、資料群全体に対する予防的保存対策などのご提案も行います。
２．紙資料の保存修復処置
文書（近現代資料含む）、古地図（和紙、洋紙、羊皮紙）、原稿、ポスター、図面、新聞などの様々な紙媒体資料の保存修復処置を行います。資料の損傷/劣化状態、保存（保管）形態に従って部分的修理、裏打ちから脱酸（炭酸水素マグネシウム水溶液、ブックキーパー法など）、エンキャプシュレーション（ポリエステルフィルムへの封入）まで様々な材料・方法・技術からの選択により、保存性・利用性・視認性・美観性などを回復させることを目指します。
３．版画・デッサンなど紙作品の保存修復処置
リトグラフ、エッチング、エングレービング、ドライポイント、アクアチント、メゾチント、シルクスクリーン、浮世絵などの版画作品や鉛筆、木炭、パステル、コンテなどのデッサン（素描）作品の保存修復処置を行います。また、版画・デッサン作品に対するマッティング/マウンティング作業を作品に対して無害な材料を使用して行います。
４．地域に残る郷土資料・地域資料の保全
郷土資料・地域資料とは、特定地域のあらゆる事象について書かれた資料のことをいいます。具体的には、地域の地誌に関連する資料やゆかりのある人物、地域に伝来する事柄をいい、これらの資料は地域の歴史を知り、地域の将来を考える上でとても参考になる資料になります。その形態は、図書、新聞・雑誌・逐次刊行物、地図、パンフレット・リーフレット・チラシ・ポスターなどと非常に多岐にわたります。
私どもはこれらの郷土に存在する唯一無二の宝ともいうべき資料の保全に関してあらゆる面からサポートいたします。
５．資料の代替化（マイクロ化/デジタル化）時の解体・再製本（復元）
貴重書をはじめとした図書資料のデジタル化（スキャニング）/マイクロフィルム化時における資料の解体と再製本（復元）を行います。書籍の解体・再製本（復元）は私どものように製本構造を熟知している必要があります。製本構造に不案内な者による作業によって、伝世した姿を永遠に失ってしまうといった事態を未然に防ぐためには、製本に熟知した私どものような専門家との事前協議は必要不可欠と考えます。
６．資料保存に付帯する様々な保存用器材の製作
貴重な書籍・紙資料を有害な汚染環境（大気汚染物質など）や虫害、そのほか物理的な破損や散逸から守るための各種保存用器材（容器）を収蔵環境/状況の必要に応じて製作いたします。保存用（弱アルカリ性）ボードによるリーズナブルな保存容器（留め具または凹凸のない差込式のタトウ型、フォルダ型など）、革装の西洋古典籍用の容器（丸背夫婦箱、シェル・ボックスなど）、和漢書籍のための布張四方帙をはじめ、大型本に対するブックシューや書籍に負荷をかけずに利用するための簡易書見台など資料に最適な保存用器材をご提案させていただき、製作いたします。
７．所蔵資料の館外貸与時等のコンディションチェック（クーリエ業務）
特に書籍の場合には、使用素材の損傷/劣化状態の見極めと製本構造を熟知していなければ、その安全性を正確に評価することができません。対象資料の状態に応じて、修理の必要性の有無や安全な展示方法・環境などのご提案をさせていただきます。
８．保存環境の調査、資料の状態調査から保存計画の立案・コンサルティング
各種機材（データロガーなど）を使用した書庫・展示ケース内・閲覧室などの環境調査や、資料全体の状態調査（悉皆調査、サンプル調査）からそれに基づく保存計画の立案・コンサルティングを行います。
